Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident


Draft document: Radiological Protection of People and the Environment in the Event of a Large Nuclear Accident
Submitted by HIdeko Wada, None
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勧告案について、下記の点について再考を求める。

●「(22)100mSv未満では、(がんが増加する)証拠はそれほど明確ではない」とあるが、「100mSv以下の低線量でも、がんが増加するケースが多数報告されている」と書き方を改めてほしい。 最近では、次のように低線量でもがんが有意に増加する報告が多数出ているからだ。2010年、Kendallレポート(イギリス小児について自然放射線5mSv以上で1mSv毎に白血病12%増)2013年、 Mathewレポート(がんの疑い以外でCTスキャンを受けたオーストラリアの小児68万人の調査で「CT4.5mSvごとに小児癌発症が24%増加」)

●(80)「年間1mSvオーダーへの段階的な被ばく低減を目的として、」とあるが、「1mSvオーダー」というのは、「毎時1~3mSv程度の幅をもったニュアンスに受け止められる。そのため、「年間1mSv以下へ」と書き方を改めてほしい。また、どれくらいを目処に年間1mSvにすべきなのかも銘記してほしい。年間1mSvになるまでに相当の年月がかかると考えられる場合は、少なくとも最初の数年は、避難させるなどの措置をとるよう勧告に入れてほしい。

●(158)「自宅に戻ることを望まないか許可されていない人々の再定住のための戦略が策定されるべきである」とあるが、現在日本では、自宅に戻ることを望まない人々にも、住宅提供を打ち切るなどして、事実上、帰還を強制している。そのため、「自宅に戻ることを望まないか許可されていない人々の再定住のための、継続した住居支援などの戦略が策定されるべきである」に改めてほしい。

●福島原発事故では、わずか1080人の子どもしか甲状腺被ばく調査が実施されなかった。そのため現在でも、どの程度、初期被曝したかが不明である。事故が起きた場合は、すみやかに避難者全員の甲状腺被ばく調査を実施するよう、勧告に入れてほしい。

●福島県内には、空間線量が毎時0.2マイクロシーベルト程度でも、土壌を測ったら数十万ベクレル/uを超える場所が、いたるところにある。幼児は、親が目を離したすきに、こうした場所で遊んでしまう。土を口に入れることもある。子どもが住むにはリスクの高い場所である。そのため、空間線量だけでなく、土壌汚染についての基準も勧告に入れてほしい。

●付属書「B.FUKUSHIMA」について 福島県で原発事故後に実施されている「福島県民健康調査」では、200名を超える小児甲状腺がんが見つかっている。この事実も、レポートに明記すべきである。

●最後に

日本では先日、福島第一原発事故を起こした東京電力・元幹部3名の業務上過失致死罪を問う刑事裁判で、無罪判決が下った。
東電は、国の長期評価を元に、東電の小会社が「東北沿岸部に大規模な地震が起きると、15b超の津波が到来する可能性がある」と試算していたにもかかわらず、幹部らはこれを「信用性がない」として、津波対策を行うコストを削ったにもかかわらず、だ。
日本の司法は、このような被告人の主張を認め、「原発は絶対的な安全性を求められていない」「津波などのあらゆる自然現象を考慮して措置を講じることは不可能」などとして無罪とした。
そもそも、被曝防護を考える以前に、こうした考えを持っている国や事業者が、原発を動かす資格があるのか、という点も問うていただきたい。


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